岐阜県立池田高等学校

岐阜県立池田高等学校
校長 野畑 伸芳 様

高校生向けキャリア教育

2016年度、2017年度と池田町の支援を受けて実施しているキャリア教育プログラムについて、池田高校の野畑校長にその経緯や感想などをお伺いしました。

岐阜県立池田高等学校 外観

岐阜県立池田高等学校

「向学・友愛・錬磨」を校訓に、人間性豊かな心身ともに健全な人間形成と持続可能な社会の発展に寄与できる人間の育成を目指して様々な活動に取り組んでいる。2015年4月には岐阜県の公立高校で初めてユネスコスクールへの加盟が承認されるなど、池田町唯一の高等学校として地域の若者の育成を担っている。
HP:http://school.gifu-net.ed.jp/wordpress/ikeda-hs/

教育界以外の社会経験がある方の指導を

2015年度に池田町でキャリア教育活動計画が始まり、2016年度に当校で「学校を飛び出して池田高校の先輩を取材しよう」という課外授業を行いました。そして、今年(2017年度)は「学校を飛び出して地元で活躍するオトナを取材しよう!」を実施しています。
この課外授業は、KOHOプラスワンさんが池田町に出された企画で、町のキャリアコーディネーターの方とより深めて提案いただきました。内容を聞いて、人生の先輩に取材をして、それを記事にすることは、ただ見るだけではなく働いている人の想いを聞くことができるとても良いアイデアだと思いました。しかし、取材に連れて行くための段取りや、成果物を作るための指導のことを考えると、手間がかかりすぎるため教員にはできないと思ったんです。ですが、KOHOプラスワンさんが運営も行われるとうかがい、広報などを行う「伝えることのプロ」なのだと感じて、ぜひお願いしたいと思いました。ずっと教育に携わっているとどうしても視野が狭くなります。ですから、実際の社会で経験のある方にご指導いただきたいと思っていたんです。

社会人基礎力を体験から学ぶ

これまでも、講演会やNPOの方をお招きしての授業を行ったことがあります。こうした授業は生徒の反応も良いんですが、ワンショットでの開催です。今回のように3か月ちょっと時間をかけて行うのは非常に良いと思いました。
それに、「飛び出して」が良いですね。学校の中だけでは得られないことがあります。ボランティアを積極的に勧めているのも、外に出て何かを感じてほしいからです。
それから、提案の中にあった「社会人基礎力」についても納得できました。教育の世界でもずっと言われていますが、それをどう教えていくかが問題でした。提案の中で、取材内容の検討や魅力的な写真撮影の仕方などから「課題の発見」について体感する、といったように一連の取り組みの中で、どのプロセスがどんな力に結びつくか具体的に示されていて非常に分かりやすかったです。
社会人基礎力を身に着けていくためには、体験から学ぶことが必要だと思います。

複合的な体験で多くの刺激を得る

このプログラムは、少人数で濃く体験してもらうため、1年生の習熟クラスから立候補した6名に参加してもらいました。
勉強意欲は高くても、何のために勉強するのか?将来何にどうなりたいのか?という部分は曖昧です。ですから人生の先輩に学ぶことで何かを感じてもらいたいと思いました。
そして、体験したことはクラスや学年、進路を考えている池田中学校の3年生を招いた学校紹介でも発表会を行いました。
参加者は取材をして話を聞くだけでなく、カメラの仕事や文章を作成する仕事を体験し、さらに新聞記者に取材を受ける経験もしました。そして、発表会で自分たちが得た感動や知識をどう伝えたらいいのかを考えました。このプログラムは複合的な体験で多くの刺激を得られるものだと思います。

チャンスがあれば生徒は成長できる

当校は、2年生でニュージーランド研修があります。しかし、前回は行きたい生徒がいませんでした。ところが今回はプログラムを体験した6名の内3名が参加します。経験によって視野を広げ、取材や発表で自信が付いたからだと思います。
池田町には大人しい子が多いので、最初は取材で何もしゃべれないんじゃないかと心配したんですよ。でも、当日は堂々と質問をしていて驚きました。経験を積むことで段々とたくましく成長していく姿を嬉しく感じました。
活躍できるステージと指導者、施設があれば生徒が育つということが実感できました。どの子もチャンスを与えれば伸びていくんです。
そしてプログラムに参加して積極性が出た生徒たちがリーダーとして動くことで周りにも波及していきます。
実は、教員にも良い影響がありました。プログラムを通して変わっていく生徒の姿を見て、こうすれば生徒が育っていくと実感できたんだと思います。以前は新しい取り組みには、まずは「なんで?」という気持ちから入っていました。しかし今は、生徒の成長に繋がると信じられるのでサクサクと話がすすめられるんですよ。

キャリア教育プログラムを変革の核に

池田高校を変革していく核のひとつがこのキャリア教育プログラムだと思っています。
「生徒の夢を実現する学校」のために勉強をする仕組みは学校の中にあります。その勉強を何故するのか?という部分をキャリア教育プログラムで支えてもらっています。
1年目のキャリア教育の取り組みにかなり手ごたえを感じました。そして、実施中の2年目にも期待していますし、今後も続けていきたいと思っています。もちろん、池田町の協力が必要ですけどね。私はこのプログラムに特化して続けていくことが重要だと思います。どんどん蓄積していくことでさらに高い効果が期待できると思うんです。
そして、生徒たちが進路をネガティブな気持ちや消去法で選ぶのではなく、夢や希望を持って進んでいけるようになってほしいと思っています。

取材日:2017年9月12日

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