扶養内で働くとは?

再就職を目指すママを支援する『ブランクなんて怖くない!失敗しない仕事探し塾2021』では、キャリアコンサルタントとして個別にコンサルティングをするほか、セミナーも行っています。
今回は、ママたちに向けてどのようなことをお伝えしているのか、簡単に紹介させていただきます。

■『扶養』について考えるセミナー

子育てをしながら仕事復帰を目指す多くのママが「扶養の範囲内で働きたい!」という希望を口にされます。
しかし、「扶養の範囲内で働く」という具体的な制限については、あまり理解されていない印象があります。
そこでセミナーでは、公開されている情報を元に「働き方」を考える キャリアコンサルタントとして 、『扶養』についてもお伝えしています。
・扶養内とはどこまでを指すのか?
・「損をしない(嫌らしい言い方ですが)」 ためにはどうするのが良いのか?
・ご自身と家族の将来のために、どのような働き方が良いのか?
などを考えるきっかけにしていただきたいと考えています。

■「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」

『扶養控除が受けられる範囲の中で働く』には、
・税制上の扶養
・社会保険上の扶養
という2種類の制度を理解する必要があります。
2種類あると知らない方や、混同してしまっている方が多くいらっしゃいます。

■『税制上の扶養』いわゆる103万円、150万円の壁

●103万円の壁:被扶養者の所得が103万円を超えた場合、超えた額に対して所得税・住民税の納税義務が発生します。

●150万円の壁:被扶養者の所得が150万円を超えると、扶養者(納税者)の税金控除である「配偶者特別控除」が減っていく分岐点。150万円を超えたら控除がなくなるのではなく、徐々に減っていきます。
上記は双方とも税金の控除に関するものなので、家族の手取りがマイナスになるものではありません。

ただし、手取りがマイナスになるケースもあります。それは、 扶養者(納税者) の勤めている会社が福利厚生として設定されている『家族手当』です。
例えば、 被扶養者の所得が103万円 以下ならば家族手当として毎月15,000円支給する会社では、被扶養者の所得が103万円を超えると支給されなくなり、年間で18万円手取りが減ることになります。
セミナーでは 、 会社によって福利厚生のルールが違うため、 扶養者(納税者) が勤めている会社はどのような手当が、どのような基準で支給されているのかを就業規則で確認するように伝えています。また、時代の変化により家族手当の廃止を検討する企業が増えていることも伝えています。

■『社会保険上の扶養』106万円、130万円の壁

●106万円の壁:一定規模以上の会社(※1)で年収106万円(月収約88,000円)働くと、社会保険+健康保険に加入することになり、給与から社会保険料、厚生年金が引かれます。
(※1)正社員が501人以上,収入が月88,000円以上,雇用期間が1年以上,所定労働時間が週20時間以上,学生ではない

●130万円の壁:社会保険上で扶養を外れる金額。税制の優遇が受けられず、厚生年金や健康保険に入れない一定規模以下の会社で年収130万年以上働いた場合は国民年金と国民健康保険への加入することになります。
たまひよオンライン編集部 2020年1月 https://st.benesse.ne.jp/online/images/66660_1.PNG

■大切なのは将来も見据えて総合的に考えること

上記のように、『税制上の扶養』と『社会保険上の扶養』では基準が違っていますので注意が必要です。
ただし、「今」の収入や控除だけに目を向けるのではなく「将来」も見据えて、長い目で総合的に検討してほしいと思っています。

例えば、年金に加入すれば「今」の手取りは減りますが、「将来」受け取れる年金額は増えます。厚生年金に加入した場合は、自分が病気になったときに「傷病手当金」という手当が受給できる可能性があります。

お子様が成長したとき、どれくらいお金が必要なのか?ご自身がどんな風にキャリアを積み重ねていきたいのか?リタイア後、どんな生活を送りたいのか?
このようなことを総合的に考えて、ご自身とご家族の生活に適した働き方を探していただきたいと思います。