岡山・矢掛町商店街の活性化活動を視察

『地域プロジェクトマネージャー養成講座』を修了したことで、岡山県矢掛町の商店街を視察する機会を得ました。経済産業省・中小企業庁が主催する『地域にかがやく わがまち商店街表彰2024』で受賞した10商店街のなかのひとつです。この視察は、地域活性化の具体的な取り組みや考え方を学ぶ貴重な機会となりました。


■商店街をまるごと法人化
『シャッター商店街』と呼ばれるような衰退化が進んでいる商店街は日本各地にあります。岡山の矢掛商店街も、人が少なくなって同じような悩みを抱えていたそうです。そんな中立ち上がったリーダーたちが、活性化にむけて様々な活動を開始しました。

矢掛町は、かつて宿場町として栄えた場所で、歴史ある街並みも残っています。
食事や買い物が充実した道の駅を中心地から離れた場所に作っては、商店街に人は流れない可能性が高くなります。そこで、よくある道の駅の建設は断ったそうです。
その上で、『まるごと道の駅』というコンセプトで、商店街全体を道の駅としてとらえて観光客をもてなす仕組みを考えられたそうです。
そして、個々の商店が主体の商店街では信頼を得ることが難しいということから法人化し、行政や専門家と連携がとりやすくなったそうです。

■地域の特性を生かしたイベントの開催
矢掛町ではイベントの開催にも力を入れていました。宿場町という歴史的な特色を背景を生かした『大名行列』のイベントは好評を博したそうです。こうした商店街の活性化活動をおこなう上で意識していたのは、「楽しさ」を共有することだとお話されていました。
補助金や資金集めを目的とした活動では、参加者の熱意を削いでしまいます。
一方、地域の人々が「これは楽しそうだ」と感じる活動ならば、店舗を構えていない住民の人たちも一緒にやろうという気持ちになりやすいため、活動を継続していくチカラになります。
そして、意見などがないとしても、話し合いの場に参加してもらい、どんな流れになっているのか知ってもらうことが大切だとお話していただきました。

また反対の意見やネガティブな意見でも、きちんと伝えることが大切だと教えていただきました。相手のいないところで口にすればただの悪口や愚痴になってしまいます。しかし、きちんと相手に伝えれば、それは話し合いになり意見になるとのことです。
こうして胸襟を開いて話し合うことで目標に向かって力強く進んでいけるのだと感じました。

■目からウロコの2年計画
たくさんのお話を聞いた中でも特に印象的だったのが「短期的な目標設定」のお話です。
地域の活性化活動だけでなく、企業においても長期計画、中期計画を立てることの大切さを説かれることがよくあります。
しかし、矢掛町では2年計画を立てたそうです。
5年先、10年先のことを考えようと思ってもうまく思い描けません。
しかし2年後にどうなっていたいかならばイメージがしやすいため、具体的な行動に落とし込みやすいと聞き、目からうろこが落ちる思いでした。
今回の視察では人の巻き込み方のアイデアをたくさんもらえました。
これらの学びは、商店街にとどまらず中小企業にも生かすことができると思います。
地域プロジェクトマネージャーを学んでいなかったら、このような機会は得られませんでした。
実際に見て、肌で感じて、直接話を聞くことで得られるものは本当に大きいと感じました。